柳生雨月抄(荒山徹著)

ジャンル:ファンタジー
 やりすぎ。ひどい。いい加減にしなさい。アホかアンタは。
 全部(褒め言葉)がつく、と言いたいところだがつけてもつかなくてもどっちでもいい。
 あまりにもオタです。巨大蛾とかヅカ剣士とかはさておき、征東行中書省がいくらなんでもゴルゴムとかクライシス帝国です。怪異譚つうよか特撮です。しかも昭和の。友景は、彼岸に触れながらも無垢な魂を抱き続けるスーパーヒーローで、それってつまるところ昭和のライダーだし、大魔縁はあまりにただの長官です。朝鮮妖術士はどいつもこいつも人間+動物の黄金パターンなライダー怪人。普通の兵士がバコバコ切られるのは連中がまさに戦闘員だから。
 えー。まあ、突っ込んだら負けなんだけどさ。
 ファンタジックに汚いセックス大好きなとこはなんか共感しないではないです、雷鳥会的で。
新潮社 2006年4月発行

とらドラ! 2(竹宮ゆゆこ著)

ジャンル:その他小説

 一巻がいくらなんでも神がかっていたので、比べりゃ見劣りします。比べりゃね。

 多分、引きが上手すぎるんですね、この人。一体何が起こってしまうのか、どんな凄まじいものがこの先待っているのかと期待させすぎてしまう。冷静に考えれば人助け竜虎参りと化するのは当たり前で、竜児と大河のラブラブっぷりは後景に退くしかないのはわかるんだけれど、いや、やっぱりこう、期待はずれって思っちゃうのはしょうがないです。

 そんなわけでなんとかマーキュリーみたいな名前の新キャラが勇気を搾り出すまで。手乗りタイガーになくてチワワにはあるものの数々がなんというかまあ一々どうという事もなくてタイガーの世界一の美少女っぷりだけが際立ちます。勇気と根性なら手乗りタイガーには売るほどあるわけで。たけゆゆセンセは本当に容姿に恵まれた引き立て役の女子を多用するなあ。

 大河が世界一である事は傍から見れば自明なのに、本人だけはそれに気付いていない。むしろそれが世界一の要件か。二流と名付けられた一流の男みたいな。

電撃文庫 2006年5月発行