ボクのセカイをまもるヒト2(谷川流著)

ジャンル:SF

 フィクションの少年少女に対する過大にもほどがある思い入れによってのみ駆動される、という意味で、選れて萌え系。元長柾木作品がそうであるくらいには。

 手の内をやたらに晒してしまいたがるのは、フィクションの少年少女が自分の手の内にしかありえない事を哀れめばこそ。これから自分の手で首をねじ切る相手を本当に可哀想だと思ってしまう、そういうギリギリの誠実さ/卑劣さ/周到さ。

 P140あたりとか、悲劇の予感でもう胸が苦しくて読み進められなかった。『学校』一巻以来の本気で泣ける/鬱入る谷川作品。

 で、結局それほど悲惨な事にはならないのであって、そういう結局なしくずしに優しいあたりとかもう、なんだ、この、ジゴロか! メロメロだ! 俺が! 作者に!

電撃文庫 2006年6月発行