絶望系閉じられた世界(谷川流著)

ジャンル:その他小説  
 一番幸せに読解するなら、キョンハルヒに惚れるまでを、古泉たちが語るお話。猟奇殺人とか悪魔とか絶望とか蛸とか、そんなのはまさしく装置に過ぎない。
 普通じゃない、なんて言葉が愛を語るのでなくて、なんだろう。

 最初、谷川流の『我が家のお稲荷さま。』みたいな話なのかなと思ったけれど、どうにもそうじゃない。
 起こるべき事は全て既に終わっていて、その事だけが確認される――ようで一見あるんだけれど、恋が始まっている。

 他の作品をくさしているとこは最近のあんま追っかけてないからいかんとも。
電撃文庫 2005年4月発行

涼宮ハルヒの動揺(谷川流著)

ジャンル:SF  
 ハルヒキョンのラヴラヴが足りない。
 つまるところ、だからハルヒの「動揺」なのであって、キョンハルヒに愛されてると思い上がってまあみくるや有希とのうあきに精を出し、ハルヒハルヒキョンを措いての遊びに現を抜かし油断すると古泉との距離が近すぎるのでもーお兄さんぴぴーってお笛を吹いて引きはがしたりくっつけたりしたくなっちゃってたまらなかったわ。ラヴラヴが足りてない事によりハルヒが可愛すぎて死にそうになったりはしなかったものの、相も変わらずひねくれた語りにもうムズムズさせられっぱなし。
角川スニーカー文庫 2005年4月発行

新機動戦記ガンダムW外伝 〜右手に鎌を左手に君を〜(皆川ゆか著)

ジャンル:SF  
 んー、『W』って確かに異装を繰り返す話であり、なのに人々の言動がまるで変わらない、という話でもあり、その基本は抑えているのだが、もうひとつの大きな柱、敵も味方も戦争と平和に関する異様な観念のためにのみ戦う話という部分、美しすぎるほど美しい男女の、観念に捧げつくされてしまった姿の清らかさがすっぽりと抜け落ちていて、つまるところ「こんなの『W』じゃねえよ」。
 なんだろう、俺みたいなトロワ一択系男子じゃない人、特にデュオ萌えカプ厨の見ている『W』ってこうなのかも。
講談社文庫 2005年1月発行