悪魔のミカタ 魔法カメラ(うえお久光著)

ジャンル:ミステリ  
 第八回電撃ゲーム小説大賞銀賞受賞作。

 ウェルメイドではある。
 ルールに縛られた魔法を用いたハウダニットがきちんと出来ているし、犯人を罠にかけるための誘導尋問もロジカルファンタジーの教本通りだ。

 ただ、二人目の探偵の動機がやや弱く感じられてしまうのは珠に瑕。それは第一章で一人目の探偵との絆が説得的には伝わってこないからであり、徐々にハーレム化して行く人間関係のゆえでもある。
 「命懸けの恋」」はそもそも説得力を失っているのに、それを補いうるハーレム形成の萌芽を示したのではモチーフで物語をドライブする事が出来なくなってしまう。
 一体どういうミスなのやら多少理解に苦しむ。

電撃文庫 2002年2月発行