涼宮ハルヒの消失(谷川流著)

ジャンル:SF  
 ハルヒが消失してしまった世界、誰もがハルヒを忘れてしまった世界(じゃないんだけど、厳密には)でキョンが不在のハルヒを求めて駆けずり回るなんて、そんなシチュエイションだけを僕たちは待っていた、と思わないかい?
 ハルヒがいないからこそできる、ハルヒキョン恋物語
 キョンに選択肢が提示されるのだけれど、選択はもうとっくの昔に済んでいて、キョンは自分が選ばれていた結果を受け取りに行くしかない。思い出が最終審級となる、とかすでに択ばれた遠い道、とかそんな話。《ハルヒ》はエロゲーくさいと言い出すならこれを待ってからでしょうにねえ。長門の気持ちがなんと呼ばれるのか知りつつ言い落とすあたりがなんとも切ないじゃないのさ。
 ところで長門の出番は多いが今回の長門を肯定するのに脳内で2つ以上のステップを踏まずに済む人は多分長門好きじゃないと思う。
角川スニーカー文庫 2004年8月発行