クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い(西尾維新著)

ジャンル:ミステリ

 別にタイトルとか作者名とか手打ちしなくても山本のからコピペすりゃいいや、とか思ったわけではない。コピペしたけど。評価自体は俺の方が一点低いけれど、別段彼の評価を妥当ではないとも思わない。たまたま書こうと思ってたネタが被ったんで、良い機会だから俺の感想も書きとめておこうかと、ただそれだけの事であり、他意はないが、しかしここまで来たら折角なので堀内先輩のご意見もお聞きしたいところ。如何ですか?

 スーパーハカーが出ます。ヒロインは風呂に入りませんが主人公はそれに一向に構いません。多分、作者が風呂に入らなくてもそこそこ平気な人なだけだと思いますがそれにしても。と言ったようなアンリアルな展開がところどころに入り込むため、読んでいる最中の足の置き場には迷う。そういうものだと受け入れてしまえばまあそれまでなんだけれど、ただ、最後のどんでん返しの伏線がベタなリアリズムに基づいているだけに問題がないとは言い切れない。

 トリックにも怪しいところがないではないが、具体的な条件の絶妙ないい加減さでそれは覆い隠されていると言えるだろう。警察力を排除する、極々普通の展開がそのいい加減さが暴かれる事を防いでいるのは本当に見事。

 「京都の二十歳」という言葉から思い浮かべてしまう若さ溢れるダメ展開と不思議に縁の切れた、端正な骨格のミステリ。

 肉付けは確かにうざったいけどね。意味のない饒舌風の含蓄ある言葉だと作者が思ってるのが垣間見えて流石に痛い。含蓄ねえし。底浅いし。その痛さでいろんな事が台無しに。オヤジ転がし系。


講談社ノベルス 2002年2月発行