我が館にさまよえ虚像(秋田禎信著)

ジャンル:ファンタジー

 全編にクライマックス直前の緊張感と興奮が溢れたシリーズ18巻。

 《魔術士オーフェンはぐれ旅》とはつまりどんな話だったのか、を、怒涛の勢いで伏線を回収しながら提示する。それは十年近くオーフェンたちとはぐれ旅を続けてきた読者の自己確認の作業と軌を一にして、大長編シリーズならではの感興を呼び起こす。

 あとはもう、クライマックスを残すばかりだ。〈鋼の後継〉である事を自ら選び取ったオーフェン。そんな彼に反発する、マジク。そして二人の姉……。

 はじめて、《魔術士オーフェンはぐれ旅》を読んだ時のように、続きが待ち遠しくてならない。という感想文を七箇月温めてたにも関わらずまるで古くなってないのが悲しいなあ。

富士見ファンタジア文庫 2002年3月発行