星の、バベル(新城カズマ著)

ジャンル:SF

 やったぜ本気だ新城カズマすげーっ!

 新城カズマが凄い、なんて事はライトノベルを読んできた人間ならば誰もが知っている事なのであって、今更くだくだしく述べるのもおこがましい。上巻が出た時に『導きの星』の話はしても『星の、バベル』の話はしないSF読み界隈を見ていてなんて物が分かっていない人たちなのだろうと思ったもんだ。そう言う事って良くありますよね『猫の地球儀』と『ブライトライツ・ホーリーランド』とか『イリヤの空、UFOの夏』と『ラスト・ビジョン』とか。

 なんというかまあ、新城節だね、で終わってしまうのだけれど、それでも《蓬莱学園》が止まって以来、ついぞ見なかったネタの大盤振る舞い。ポリティカルサスペンス仕立てに現れる鋭い”現実的な”問題意識。アホみたいにルビを振る文体と、侵略者のロジックに現れる遊戯的な思弁性。熱力学の三原則とかもうカッコよすぎます。

 これぞ。これぞ新城カズマ。読んでない人は今すぐ本屋へGO!

ハルキ文庫 2002年1,9月発行