IX(ノウェム)(古橋秀之著)

ジャンル:ファンタジー  
 そして本物の古橋の新刊。
 あぁ・・・もういい加減、小説技術の限界に挑戦する、小説技術を見せ付けるためだけの新刊はやめにしませんか古橋先生。武侠小説なんて書いてみれば書けるに決まってるじゃないですか。だって書けてるし。アモラルでカオティックな、思弁と想像力の限界に挑んだ作品が読みたいです、あなたの。

 物凄く良く出来た和製武侠小説。まあ、驚きはない。古橋秀之だから。これが第九回の大賞だ、とか言うならどんなにか騒いだか分からないけれど、まあ古橋秀之だからねえ。
 スペック下げてるなあ、と思うばかりだ。佐藤友哉あたりと違って、スペック下げないと小説としての結構が整わないなんて事は全然ないこの人だけに、それはただのヌルさにしか繋がらない。
 面白いんだよ。『されど罪人は竜と踊る』比八倍くらい。面白いんだけど・・・ねえ。
 あヒロインはちょっと萌える。ミラほどじゃないけど。
電撃文庫 2003年2月発行