マリア様がみてる 涼風さつさつ(今野緒雪著)
ジャンル:その他小説
シリーズ第十四巻。
花寺学院の学園祭が近づいて、祐巳たち山百合会の面々も大忙し。祥子の男性恐怖症もまだ治ったとは言えず、祐巳の苦労も募る中、一年生の細川可南子が祐巳に接近して・・・・!?
チェリーブロッサムから延々続いていたつれない&いけず&不甲斐ない祥子路線から一転、お姉様の美しさ、気高さ、強さを見せ付けてきます。それがやや唐突に見受けられないでもない。
祐巳が可愛い、という言及がやたらに目に付くのは、つまるところ祐巳の視点を通して、祥子との相対的な関係の中でのみ表現されてきた彼女の成長をここいらで他の基準から描き直しておこう、という事なのは分かる。分かるけど、それをやってしまうと妙にこそばゆいお話になるのはなんだろう?
悪くはないんだけど、微妙に次のステージへ上がった(松平・綾小路・西園寺・京極・細川(キミ)を踏み台にしてねっ)紅薔薇姉妹の関係の描出に成功しているとはいいがたい気もする。
瞳子はいい奴だと思いました。あと、巨大乙女は流行りやなあ、と。
コバルト文庫 2003年7月発行