世代論

 若い奴は何か俺たちと違うのではなかろうか、と思って見れば、絶対に違います。時代も年齢も違うからね。違わないほうがおかしい。
 その違いを、本質的な差異であって相互理解は不可能だ、と言い出す事が問題なのです。『動物化するポストモダン』に反発したのはそういう理由です。そうは書いていないけれど、そう読まれかねない本であったのは確かで。世代差がある(かもしれない)と思わせる事自体が世代差をあらしめます。あれを読んで半信半疑のまま若いオタクを見るその視線の中に、既に差異はある。あとはマッチポンプ式にそれを見出すだけ。
 だから80年生まれってだけで色眼鏡で見られるのはイヤだった俺としては、『動ポモ』はモノホンのゴミ本という事にしなければならなかったのだけれど、見事にそれには失敗しました。そんなわけでどうもオタクの世代差は実在するらしいです。みんながそう言ってるんだから間違いない。
 『動ポモ』は世代論に関する部分と用語法や実例の微妙さ以外は悪くない本だと思いますよ。