きみとぼくの壊れた世界(西尾維新著)

ジャンル:ミステリ  
 西尾維新の小説ってシニカルで俺は何事にも動じないし様々な事象に一定の見解を持っているカッコメンだぜ、と信じている主人公が、殺人事件を通してそんなシニカルだったはずの自分の中にドロドロとして熱い人間らしい内面があると気付いて苦悩するお話だ、とまずはまとめる事が出来ると思うのだけれど、まあそれ以上でもそれ以下でもないです。
 言わなくてもいいような事を言っておけば病院坂が保健室のベッドでやってる事は通過儀礼という奴ですね。それがなんらの獲得も伴わない喪失としてしか扱われないあたりに現代的ななんやかんやとかを見て取ればいいんですか? まあでもそんなもんよね、青春小説って。
 あ佐藤友哉みたいなペースで改行しようとして意味内容の切れ目と段落わけが微妙に不一致起してる文章は読みにくいと思いましたとさ。
講談社ノベルス 2003年11月発行